大学の偏差値ランキングを見ていて、模擬テストでの偏差値を引き上げていけば上位にランクされる大学に合格できるようになるだろうと、漠然と考えている受験生は多いものです。
模擬テストの結果三教科で偏差値○○などという報告を受け取ると、「これで××大学には届いたから、慶應に届くまであと偏差値△△分頑張ろう」などと考えがちです。
このような考え方が可能なのは、センター試験のように全ての大学が同一の問題でテストを行う場合に限られます。
一般入試の問題には、各大学が学生に求める学力・資質についての個性溢れる主張が込められています。
このような問題の難易度を同一の基準で判断することができないのは当然です。
「模擬では届いていたのに不合格」とか「偏差値では足りなかったのに合格」という現実を目にすると、「彼は本番に強い」だとか「勝負は時の運」などと精神力や運に原因を求めるコメントがよく聞かれます。
全く誤りだとは言いませんが、自分が受験する立場ならば、それ以前に偏差値やランク表信仰から脱却した視点を持つことが大切です。
本当に慶應大学に入りたいのなら、単に模擬テストの得点を上げようとするのではなく、慶應大学各学部が要求する学力の強化を計るという意識で受験勉強を進めることが必要です。
慶應大学各学部の通常入試では、国語という教科がありません。
そして外国語の配点が他教科の1.5倍から2倍になっています。
このことから、「慶應は英語重視の大学だ」「慶應に受かるには英語力を強化しなければならない」ということは誰でもわかります。
中には「私は国語が苦手だから、慶應を受ける」などと言っている人もいます。
けれどもこの事実は、英語の比重が高いということ以上に慶應攻略の重要な手がかりを与えてくれます。
言語というものは単に意思疎通の手段であるだけでなく、一人一人が思考するための手段でもあります。
言語を使いこなす能力が低ければ、考える力も低くなります。
言語がこのような意味を持つものだとすると、母国語を使いこなす能力の優劣は思考力の優劣と直結することとなり、入試の場で受験生の優劣の判断をする場合には母国語の力のテストは極めて重要だということになります。
慶應大学が国語を入試科目にしていないということで、「思考力よりも知識を優先させている」だとか「実利優先で外国語を母国語より重視している」などの批判も聞かれます。
しかし、大学にとってこれから教育する学生を選ぶという行為は大学の将来を決定するものであり、決してこのような安易な理由で行われるものではありません。
そうだとすると、慶應大学は国語テスト以外の方法で言語能力と思考力の優劣を判断していることになります。
この判断に使われるのが英語と論文だということです。
上のような視点から慶應大学の問題を眺めてみると、単に長文の量の全体に占める割合が多いという表面的な特徴以上に、内容を自分の頭で展開して考えることを要求している設問が大部分であることに気がつきます。
形式自体は他の大学と変わりませんが、文章全体の意味の流れを考えて答えを出すことが要求されます。
適文選択形式の内容設問では、他大学でよく見られる本文中の該当箇所の書き換えの選択肢以外に、本文の意味から論理的に推理する必要がある選択肢が多く含まれます。(この点を意識しないと「選択肢に微妙なものが多いので難しい」というような過去問解説と同じような感想を持つことになります)
また、長文中の空所補充形式の設問でも、文法・語法や連語・重要構文の知識ですぐに答えが出せるものではなく、文章全体の意味を考えて初めて結論が出せるようになっています。
本文に含まれる難しい語句も文章全体から意味を判断することが要求されているのであって、その語句の知識自体を要求しているのではありません。(この点も、意識していないと単語力のレベルを引き上げることばかりに力を入れて見当違いの勉強をしてしまうことになります。)
こうなると、ここで要求される力は、単なる英語力ではなく言語を使いこなす能力です。
英語力以上に母国語の能力が試されていることに注意が必要です。
国語力・論理的思考力を大きく要求する経済学部や医学部の自由英作文問題についてはいうまでもありませんが、「国語が苦手」と言っている人の英語力では大変に厳しいことになります。
「語句の意味が全部解れば文章の意味が判る」とか「全部が日本語に訳せたところで満足する」というような読み方をしていたのではこのような狙いを持った英語問題に対処できる力を養成することができません。
もし、語句の意味が全部解り全文が訳せれば読解できたことになるのならば、国語には読解問題が存在しないことになってしまいます。
単語の意味を先に調べる予習・和訳型の勉強が慶應入試で効果を上げられない理由がここにあります。
慶應大学合格を目指すのならば、先ず、英語の勉強では、長文の内容の意味の流れを想像しながら難しい語句が出てきても最後まで読み通して考える練習を十分に行うことです。
大切なのは訳すことではなく内容を正確に把握することだという意識が重要です。
CATの英語ハイレベルクラス及びプライベートレッスンでは、予習に頼らず長文を初見で読み解く訓練に重点を置いています。
受講生一人一人の頭の個性を把握し、それに最もあった頭の使い方の指導をするのが最大の特徴です。
判断の根拠と思考の過程を検証する問答形式を使って、想像力と論理思考を駆使した内容理解のための頭の使い方を鍛え偏差値の差を問題としない合格率を上げています。
慶應大学を志望する人にとって、無理・無駄のない効率的なレッスンです。
現在高1・2年生の方はそれぞれの学年のハイレベルクラスで「英文をどのように読んだら良いか」の点から基本的なトレーニングを行っています。
高3・卒生の方で、英文の語順に従った基本的な読み取り方が身に付いている方は、ハイレベルクラスでの慶應対策トレーニングが有効です。
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